ページをめくれば、学生時代の思い出がよみがえる卒業アルバム。懐かしい気分にひたれるアイテムではあるが、日常的に見返すものではない。そのため、引っ越しやライフスタイルの変化、あるいは終活を考えたときに、そのまま保管するか、処分するか悩まされることもあるだろう。
個人情報の観点から多くの学校で学生名簿や名札が廃止されるようになって久しいが、卒業アルバムは相変わらず立派な造本で、「処分しにくい」という声もある。卒業アルバムの“処遇”について迷ったことがあるという人たちに、結果的にどうしたのか話を聞いた。
「自分が亡くなった時に一緒に燃やしてもらう」
メーカー勤務の30代男性・Aさんにとって、卒業アルバムは「思い出が詰まっている特別なもの」だ。
「卒業アルバムは思い出が凝縮されていて、当時にふらっと帰れるタイムマシンみたいなものです。実家の自室には卒業アルバムが置いてあるのですが、帰省すると時々見返しては懐かしさに浸ります」
しかし、実家のリフォームで自分の荷物を片付けることになったAさん。処分するか保管するか、卒業アルバムの扱いには悩んだという。
「そんなに見ないのですが、捨てられない。結局、実家から自宅に持ってきました。けっこう大きいので場所を取るのが最大のネックですが、卒業アルバムを読み返すと、描いた夢をかなえられていないし、理想の大人にまったく届いていないなあ、なんて“初心”に帰る感じがします。捨てるタイミングは……自分が亡くなった時に一緒に燃やしてもらうとかですかね」(Aさん)