日本酒は、「原料米に日本産米を使い、国内で醸造した酒」のみを指す。製法や米の品種の違いによって、香り、味わいの個性が大きく異なってくる。
日本酒用に開発され、特別な検査基準をクリアした米は「酒造好適米」と呼ばれ、その数は120種類以上に及ぶ。最も生産量が多い品種は“酒米の王様”と称される山田錦。2位の五百万石と合わせると全生産量の約60%を占め、美山錦、雄町と続く。酒造好適米は一般米よりも粒が大きく、心白と呼ばれる白濁して見える中心部分があるのが特徴。心白は品種によって大きさが異なり、味わいを左右する精米歩合にも影響がある。
きき酒師などの資格認定を行なう日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)の専務理事、日置晴之氏は言う。
「飯米を酒米として用いる日本酒もあり、全国各地特有の土壌、気候で育つ米の個性で日本酒を選ぶのも一興です」(日置氏)
日本酒を「米」で選ぶべく、それぞれの特徴を紹介しよう。
【山田錦】
兵庫県で開発され、1936年に誕生。心白が小さく、高精白(※より多く削りとれること)が可能で、上質の吟醸酒を造りやすい。
『大吟醸 龍力 米のささやき YK-35』本田商店(兵庫県) 5500円(720ml)
兵庫県特A地区産山田錦を100%使用。自社精米で35%まで磨き、醸した大吟醸酒。フルーティーな吟醸の香り。
【五百万石】
新潟県で開発。蒸米にした際の粘り気が少なく、麹が造りやすい。香味は淡麗。キレのある酒に仕上がりやすい。
『鶴齢 純米吟醸 五百万石50% 無濾過生原酒』青木酒造(新潟県) 1848円(720ml)
新潟県産五百万石を50%まで磨き、巻機山の伏流水で仕込んだ。米本来の旨みを引き出した味わい。華かな香り。
【美山錦】
長野県で開発。北アルプス山頂の雪のような心白から美山錦と命名。シャープで軽快な香味に仕上がりやすい。
『MIYASAKA 美山錦 』宮坂醸造(長野県)1848円(720ml)
長野県産美山錦を使用した純米吟醸酒。老舗蔵元が「酒米品種の本来持つ素晴らしさ」に光を当てるMIYASAKAシリーズ。