ダンススクールも芸能事務所もない町に生まれた少女が、テレビの前でアイドルの真似をして歌っていた少年が、観客の熱狂のもと、一夜にしてスターになる──。昨年末には、サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』(通称日プ)の第3弾となる、『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』の最終回が放送され、11人組の女性グループ「ME:I」が結成され、話題になった。しかし、オーディション番組をきっかけに夢を掴む者がいれば、夢破れる者もいる。落選した人々は、そこから何を得たのか。【全3回の第3回。第1回から読む】
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光が強ければ影もまた濃い。オーディションでチャンスをものにし、スポットライトに照らされ才能を開花させるスターが生まれる一方、実力を発揮できず、また運を味方につけられずに肩を落とす「落選者」も必ず生まれる。
『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』に参加した岡山県美咲町出身の高校2年生・村上璃杏(17才)を応援すべく、SNSで投票を呼びかけるなどしていた、同町長の青野高陽さんはこう話す。
「勝ち残って初めてスタートラインに立つことができるのは政治家もアイドルも一緒です。政治も芸能界も、それまでいくら一生懸命努力しても落ちてしまえばすべてが水の泡。私が今回、つい必死になってしまったのはそのシビアな現実を肌で感じた経験があるからです」