中学受験で増えているのは「勉強が苦手な子」たち
ところが今、中学受験をさせる理由は変化している。共働き家庭が「学童代わり」に中学受験塾に入れたり、「我が子に合った中学に入れよう」という気持ちから中学受験に挑んだりする。
となれば、そこには学力が高くない受験生も多くなる。そして、それは正しい判断でもあるのだ。中堅校は生き残りのために努力しているから、そういった学校の教育の質は向上している。そのような難易度は高くないが内容がいい学校に、通わせて子どもの能力を最大限の伸ばそうというのは賢い選択なのだ。学力の生徒の能力は比例はしない。受験のための勉強が苦手でも、優秀な人材はたくさんいるわけで、そういった部分をちゃんと伸ばす教育をしてくれる学校もあるのだ。また、推薦での大学進学の対策にも長けている。勉強が得意ではない層の方が今、私立中学に進学するメリットが大きいともいえるのだ。
そういう勉強が得意ではない層が中学受験に参入してくるので、結果、SAPIXのようなトップ塾の入室テストを、基本的な読み書きが十分に身についてない学力層が多く受けてくる。たとえ入室できたとしても、難関校を目指せるわけでもない層も増えてきている。
ある個別指導塾の校舎長はいう。
「SAPIXの入室テストに2回落ちたという生徒をお母様が連れてきました。正直、中学受験の前に小学1年生の内容からやり直さないといけないレベルです」
そこでそれを説明すると「うちの子はそんなにバカじゃありません! SAPIXに入れるんです」とキレられたという。
「今、公立小学校のテストは、ある程度の日本語の読み書きができれば、それなりに解けるようなものばかりになっています。そのせいか、自分の子どもの現状を把握できない方が多いんですよ」
そういって頭を抱えるが「そこに、うちら個別指導塾のビジネスチャンスがあるんですけどね」ともいう。