「家賃を支払う人こそビルの持ち主だ」と考えるべき理由
私たちが知っている大企業も、じつはすべて不動産利益を同時に得る形態をとっている。マクドナルドは世界最大級のレストラン・チェーンだが、世界でも有数の不動産業者でもある。
ほとんどの大型スーパーや、ディズニーランドなどのテーマパーク、ホテルといった事業者も不動産事業をおこなっている。フランチャイズも不動産事業になりうる。フランチャイズは個人店よりも閉店率が低いため、売り場を確保してフランチャイズの店主から家賃を受け取ることができる。マクドナルドがこのモデルを採用している。
農場も顧客が農産物を買いに来るようになれば、不動産事業と言える。生産、製造、販売を同時におこなう農場なら、立派な不動産事業者だ。このような事業形態を第6次産業と呼ぶこともある。
生花店も不動産事業者になれる。私は長くソウル市内で生花店を運営しているが、何店舗かは建物を買ってそこに店を構えた。売りに出ている物件が、うちの店が入居して現在の平均的な家賃を支払える程度の商業ビルなら、ビルを丸ごと買ってそこに店を出すのだ。私たちが引き寄せる人流資産を不動産のオーナーに奪われたくないからだ。
有能な事業者なのにビルを買わない人もいるが、その理由にはあきれてしまう。まず、不動産を買うことを一度も考えたことがない。彼らはビルを買うには多額の資金が必要だと思っているからだ。「売り場をひとつ出すだけでも大変なのに、不動産を買うなんてとても」と、頭から決めつけて尻込みしているのだ。だが、これは考え違いだ。自分より能力のないオーナーでもビルをもっているのに、変だと思わないのだろうか。
近隣の物件を見て回ったり銀行に相談したりしながら、頭金を用意しておけば、だんだん方法が見えてくる。あまりお金をかけずに不動産を買う方法は、意外に多い。いまの事業に注ぐエネルギーの半分でも不動産の勉強にあてれば、よい物件を手に入れるチャンスをつかむことができる。不動産はそれ自体、賃料という一種の配当を生む商品なので、レバレッジ効果が大きい。甘く見てはいけないが、思っているより簡単だという話だ。
「家賃を支払う人こそビルの持ち主だ」
この言葉を忘れずに事業をやっていれば、ある日気づけばビルのオーナーになっているだろう。このことを忘れなければ、毎年の賃貸料値上げに苦しみ、あちこち引っ越ししながら家主の悪口を言うこともなくなるだろう。ひとつの建物を手に入れてローンを返済したあとは、レバレッジを使って別の物件を買うこともできる。不動産はそうした特別な投資商品なのだから、絶対に諦めるべきではない。
【プロフィール】
キム・スンホ/スノーフォックスグループ会長。韓国人として初めて、アメリカでグローバル外食企業を成功させた実業家。創業したスノーフォックス社は、世界11カ国に3900の店舗と1万人の従業員を抱えるグローバル企業。本書は、インターネット上で動画が1100万回以上再生された「伝説のお金の授業」の書籍化で、韓国で100万部に到達。
※『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』(サンマーク出版)より一部抜粋して再構成