トヨタ自動車(7203)
日本を代表する会社の中でも時価総額、業績ともにトップと言える存在が、トヨタ自動車だ。2月6日に発表した2024年3月期第3四半期決算では、売上、利益とも上方修正を行った。通期の最終見通しにおいては売上、利益とも当初予想として出していた過去最高業績をさらに上乗せし、前年比で営業利益+79%、経常利益+69%、最終益+83%という大幅成長予想を出している。
車載半導体の需給状況の改善を受け、日本、海外、全ての地域において販売台数が増加し、さらに円安が業績に大きく寄与した。
グループのダイハツ、日野自動車、豊田自動織機において認証制度に対する不正が問題となり、一部の車種で生産停止が続いていることから、トヨタは今年度の連結販売台数の見通しを下方修正していた。このようなことを踏まえると、今回の決算で発表された過去最高業績の更新となる上方修正は、マーケットにサプライズを与えたと考えられる。
同社の今後の見通しとしては、アメリカの大統領選挙、そして、為替の影響などによる不透明要因も多い。EVが今後も普及が進んでいくような政策であれば、同社が遅れを取る形になることは否めないが、アメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した場合には、トヨタが得意とするエンジン車が勢いを増す可能性も考えられる。そして、この円安がどれだけ継続するかということも大きな注目点であり、日米の金融政策からも目が離せない。
SCREENホールディングス(7735)
半導体・液晶製造装置を主力としているSCREENホールディングスは、1月31日に2024年3月期第3四半期決算を発表した。
まずは、第2四半期決算に続き、今回の決算発表においても通期業績の利益を上方修正し、これまで予想していた最高業績をさらに更新している。さらに1株あたりの配当金を107円から119円に増額修正した。半導体ブームとはいえ、同社の業績成長は特に注目に値するものがある。それはキャッシュフローに現れている。
まず、「本業でどれだけの入金がされているか」を端的に示す営業キャッシュフローの積み重なりが非常に堅調である。前年が536億円に対し、今期は1273億円と、前年比の倍以上の実績を出している。また、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローも潤沢な増加を見せている。これは自社株買いや増配などを行えるかどうかの根拠となる数字と言えるだろう。「大還元時代」とも言える昨今の日本マーケットにおいて、同社のように確固たるキャッシュフローを伴う業績成長を実現している会社には、株価上昇の期待が高まるだろう。
1月31日終値に1万4670円だった株価は2月9日終値で早くも1万7140円と約17%も上昇を見せており、第2四半期決算からの株価推移でみると、決算後の昨年10月31日の終値が6934円だったのに対し、現在の株価は2.4倍もの上昇となっている。
AIブームで半導体関連にはまだまだ追い風が吹くと見られているが、その中でもキャッシュフローを伴った好業績を出し続けている同社の株価に注目したい。