日経平均株価が高騰を続け、業績拡大する企業も続出。さながら「令和バブル」の様相を呈するなか、かつてのバブルとその崩壊を肌で知る男は何を想うか――。1991年に東京・芝浦のディスコ「ジュリアナ東京」を立ち上げた元グッドウィルグループ会長の折口雅博氏(現・ブロードキャピタル・パートナーズCEO)が、躍進する日本経済を牽引役である「令和の企業経営者」への違和感を語った。
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「令和バブル」と言われているように、1980年代のバブル時代と同じように株価や不動産価格が上昇しています。ただ、経営者の姿勢に関しては当時と今では全く違う。バブル時代を代表する経営者は、やはり大胆でした。リスクも取っていました。新しい投資や新規事業への参入、M&Aでも、大胆であることが許された時代でした。
一方、現代の経営者は往々にして慎重です。失敗しないこと、足元をすくわれないこと、それが命題になっているように見える。これはビジネスマン全般にも言えることです。1980年代の大企業の入社式と、いまの入社式を見比べたらよくわかります。昨今は全員黒か紺のスーツに白シャツと画一的になりましたが、1980年代はダブルのスーツでネクタイも紫だったりと、入社式でも個性のある華やかな服を着る人が多くいました。新入社員でも自己主張がおおらかに受け止められていたのです。
バブル時代は人の評価が「加点方式」だったのです。だからこそ僕も1985年に日商岩井に入社してまもなく、ジュリアナ東京を計画して加点を狙うことができた。もし現代のように減点方式、減点主義だったら怖くて出来なかったでしょう。目立つことを恐れ、失敗を恐れ、無難な仕事に終始していたかもしれません。当時はリスクを考慮した上でも「これはやった方がいい」と会社に言えたし、会社もそれを面白がってくれました。