「法令にのっとり適切に申告、納税を行なうようお願いしたい」──岸田文雄・首相の“特大ブーメラン発言”に国民の怒りは頂点に達している。だが、政権の横暴はこれだけに留まらない。国会議員たちは自分たちの甘い「非課税特権」は死守し、国民からはさらなる血税を巻き上げようと企んでいるのだ。【前後編の前編。後編を読む】
キックバック課税の大嘘
国会が裏金議員の「政治倫理審査会」出席問題で紛糾するなか、議員会館では秘書たちが怪しい動きを見せていた。ひそかに“領収証集め”を始めたのだ。
自民党が、派閥からキックバックを受けた議員を対象に「使途不明などの場合には課税対象として税を納付させる案の検討に入った」(2月15日付読売新聞)と報じられたのがきっかけだ。
この追加納税案については、「茂木敏充・幹事長が言い出し、岸田首相も前向きだ」(官邸関係者)という情報が流れ、党内は浮き足立った。
同党ベテラン秘書が明かす。
「キックバックに課税されるかもしれないと心配した議員から、『確定申告することになれば領収証がいる。何でもいいから集めておいてくれ』と言われて探している。だが、2年前や3年前の領収証なんて残ってない」
政治資金は原則非課税とされているが、国税庁の担当者は国会で「政治資金が仮に政治活動に使われず、残額がある場合は雑所得として課税関係が生じる」(星屋和彦・次長)と答弁している。懐に入れた裏金は税金を徴収される。当然の話だ。
ただし、われわれ“下級国民”の確定申告と“上級国民”の政治家の収支報告は違う。税務署から厳しく使途を問われることもなく、「政治活動に必要だった」と言えば領収証なら何でも政治資金として認められる。
となると、“裏金はもらったが政治活動に使った”と適当な領収証を出せば許されるという話だからそれだけでも腹立たしいが、さらに許しがたいのが裏金の使途が“不明”の議員たちの対応だ。