一般に公開された展示スペースでも「中国の威信」が遺憾なく発揮されている。その内容はAI(人工知能)からクラウド、セキュリティーまで、日米欧から禁輸を食らっても「自分たちは平気だ」と言わんばかりの充実ぶりだ。
裏を返せば日米欧の通信市場から締め出されたファーウェイが、その他の国の取り込みにそれだけ必死なことの表われでもある。ロシアのウクライナ侵略やイスラエルのガザ攻撃で「力による現状変更」を見せつけられた世界は、経済・軍事大国となった中国の次の動きを注視しており、「台湾有事」などに備えて少なくとも経済の根幹を成す通信や半導体の分野では「チャイナ・フリー(中国に頼らないサプライチェーン作り)」を志向する国が増えている。MWCに巨額の資金を投じてド派手にPRするのは、会場に詰めかけたアフリカ、中東などの通信事業関係者向けに「ファーウェイに任せてくれれば、米欧に負けないIT環境を提供できる」とアピールする必要があるからだろう。
三木谷浩史会長は「分刻みのスケジュール」
消費者向けのスマホメーカーのブースは、中国メーカーでもファーウェイほどの物々しさはない。人だかりが絶えなかったのがシャオミ(小米)のブースだ。韓国サムスン電子、アップルに次ぐ世界3位のスマホメーカーはMWCに合わせてスマホの最新モデルを発表し、メディアが群がっていた。
ブースの中央には昨年末に参入を発表した電気自動車(EV)のデモカーが展示されていた。創業者の雷軍(レイ・ジュン)CEOが「走行性能や自動運転技術でテスラやポルシェに負けない」と豪語した代物だ。今年の前半に市販される「SU7」のコバルトブルーのボディーはスポットライトを浴びて光り輝く。