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【日銀マイナス金利解除で注目を集めるセクター】銀行株や無借金企業のほか、年初来高値更新の楽天グループにも注目の理由

【2】借入の少ない成長銘柄

日本電技ホームページより

日本電技ホームページより

 金融政策が変更されることの懸念のひとつとして、資金調達コストの増加が挙げられる。しかしその一方で借入比率が低い、もしくは無借金経営を行っているような会社にはそのリスクも無縁となる。つまり、借入比率が少なく、さらに、業績成長が著しい企業は注目の価値があるだろう。いくつか具体的な企業を挙げてみよう。

 例えば、竹内製作所(6432)はミニショベル主体の建機中堅企業である。2023年10月12日に発表した2024年2月期の第2四半期決算、今年1月12日に発表した第3四半期決算ともに素晴らしい成長を見せており、財務内容も無借金という状況である。3月8日時点のPER(株価収益率)は11倍とまだまだ割安水準と言える。

 日本電技(1723)は、ビル空調計装大手であり、今期は大幅な成長を予想している。株価も上場来高値を更新するなど絶好調で、最高値圏を推移しているものの、3月8日現在のPERは10倍程度である。2月29日には売上、利益の大幅な上方修正を発表し、配当の増額修正も行っている。同社のような空調設備の会社は、インバウンドの増加によりホテル施設での受注が高まっていることから、まだまだ業績の伸びが期待できる。この会社も無借金である。

 三社電機製作所(6882)はパナソニック系電源機器メーカーであり、パワー半導体に力を入れている。半導体セクターは、昨年来、相場の中心といって良いセクターで大躍進を遂げている。同社の財務内容も有利子負債比率はほぼ無借金に近いほど低く、業績も今期は大幅成長で過去最高となる予想を出している。それにもかかわらず、3月8日時点のPERは10倍、PBR(株価純資産倍率)も1倍ということでこのセクターとしては依然として割安な水準と見ることができる。

 ここでは3つの銘柄を挙げたが、このような企業は他にもある。

 金融政策修正のニュースは瞬間的には相場全体にネガティブをもたらすことが多い。しかしこれらの銘柄をチェックしておくことで押し目を拾うことにつながるだろう。

【3】楽天グループ(4755)

楽天ホームページより

楽天ホームページより

 ここで全く別の視点から個別に1社、注目しておきたいのが楽天グループ(4755)である。

 同社は主力事業として力を入れている楽天モバイル事業で苦戦を強いられ、大きな赤字を出し続けている状況であり、株価はこれまでずっと低迷してきた。しかし2月14日の本決算発表後にストップ高を付け、それ以降の株価は年初来高値を更新するなど、好調に推移している。

 その背景にあるのが、代表であり創業者でもある楽天の最大株主、三木谷浩史会長兼社長の株式保有割合の減少である。三木谷氏は楽天モバイルの苦戦から脱するため資金調達に奔走している。その手段のひとつとして、持ち株を売却し、資金調達につなげている。その結果、三木谷氏の楽天グループ株の持ち株比率は既に30%を下回り、特別議決を単独で阻止することができない持ち株比率にまで減少した。

 株式の価値は業績と連動するのがセオリーだが、同社の場合にはそれが当てはまらない。この場合、三木谷氏が持ち株比率を減らしていくことが、同社の株式価値を好感させてしまっているという皮肉な現象が起こっている。苦戦しているモバイル事業の撤退判断も含めた経営改善期待が高まっていることを意味するのではないか。

 今後金融政策が修正されるとしたら、ますます苦しい環境での資金調達を余儀なくされ、三木谷氏の株式保有比率がさらに下がっていくことが考えられる。こうした状況が、同社の株価上昇につながっていく可能性もあるだろう。

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