高額賃貸マンションであるからには、住居以外にフィットネス、ミーティングルーム、パーティールームなどはもちろん、コンシェルジュ、ドアマン、バレーサービスといった人的サービスを含む、至れり尽くせりの仕様になっています。
賃貸住宅を数多く運用する住宅系のJ-REITでは、立地や建物仕様の良い物件ほど運用成績は好調です。東急不動産系のコンフォリア・レジデンシャル投資法人、三井不動産系の日本アコモデーション投資法人、伊藤忠商事系のアドバンス・レジデンス投資法人などは投資口価格が高位で安定しています。彼らの営業成績が好調であるということは、東京、大阪、名古屋などを中心に質の高い賃貸マンションが供給され、マーケットで高く評価されていることを示しています。
最近の都心部の開発ではオフィスのみならず、マンションや商業施設を同じ建物内や敷地内に複合する事例が多くなっています。そのマンションは分譲ではなく、賃貸用として運用する動きが活発化しているのですが、その背景には、高い賃料負担にも耐えられる、富裕層の存在があります。
このように、賃貸分野においても、マンションマーケットは著しく進化しているのですが、そのターゲットはやはり富裕層です。
富裕層の間で注目を集めるホテルコンドミニアム
昨今、富裕層の間で話題になっている投資用不動産が、「ホテルコンドミニアム」です。これは読んで字のごとく、ホテルとコンドミニアム=マンションが組み合わさったものです。ブランデッドレジデンスに近いですが、ブランデッドレジデンスは居住に重きを置いて、居住者に各種のホテルサービスを提供するのに対し、ホテルコンドミニアムはオーナーが利用する時以外は、主にホテルの客室として運用します。
ホテルの部屋は通常、リビングダイニングやキッチンがありませんが、ホテルコンドミニアムにはこれらのスペースや設備が備わっています。外国人出張者や中長期滞在者用の仮住居として利用されるサービスアパートメントに似ています。
また、マンションは通常2LDK、3LDKなどと表示しますが、ホテルコンドミニアムは部屋をベッドルームと称して、その数に応じて1ベッドルーム、2ベッドルームなどと呼びます。そしてベッドルームごとにトイレ、洗面台、バス・シャワーが設置されていることが多いのです。キッチンは、リビングスペースなどに1カ所設置され、共用で使うようになっており、簡単な調理ができるキッチン用品、電子レンジ、冷蔵庫などがあらかじめセットされています。
ホテルコンドミニアムは1室(たとえば2ベッドルーム)ごとに販売され、購入者は別荘のように利用してもよいし、自身が利用しない時にはホテルに貸し出すことができます。ホテルは借り受けた1室を、ベッドルーム単位で顧客に提供するので、2ベッドルームであれば、2組の客が利用できることになります。だからトイレやシャワーなどは各部屋に専用に取り付けられているのです。
ホテルコンドミニアムが話題となったのが、2016年に東山竹田病院跡地にできた「フォーシーズンズホテル京都」に併設された「レジデンシャルスイーツ」で、全180室のうち57室がホテルコンドミニアムとして分譲されました。
当時の分譲価格は4億~10億円程度でしたが、2023年11月時点で中古物件として販売されている物件の価格は83~151平米で4億6000万~15億円程度。何と、坪単価1800万~3280万円です。分譲当時は坪単価約700万円でしたから、投資用不動産としてすでに十分な売却益が実現しています。ちなみに月額の管理費は20万9000~32万7000円になります。