でも、悲観することはありません。今後は、首都圏を中心に大量の相続が発生します。少子化ニッポンでは相続人の数も減り、都内でも実家に住まない相続人が、親が残した中古マンション住戸を、大量にマーケットに賃貸や売却で放出することが目に見えています。
一般国民が豊富に出そろう中古マンションをじっくり吟味して、割安に買い求められる時代は、そこまで来ているのです。これからの世の中では、一般国民は三井、三菱、住友などのデベロッパーの名前を知らなくてもよくなります。彼らは、富裕層や投資家向けの新築・超高額マンションだけを提供する存在になるからです。このあたりのことについてもデベロッパーはよく理解をしています。
※牧野知弘・著『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)より一部抜粋して再構成
【プロフィール】
牧野知弘(まきの・ともひろ)/東京大学経済学部卒業。ボストンコンサルティンググループなどを経て、三井不動産に勤務。その後、J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在は、オラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。著書に『不動産の未来』(朝日新書)、『負動産地獄』(文春新書)、『2030年の東京』(河合雅司氏との共著)、『空き家問題』、『ここまで変わる!家の買い方 街の選び方』(いずれも祥伝社新書)など。