「1.5℃の気温上昇」でレッドゾーンに
別掲表の「2100年」という数字を見て、「自分には関係ない」と思う人がいるかもしれない。
しかし、海面水温が上がって水蒸気が大量発生すると豪雨が増え、台風も巨大化し、夏は40℃級の酷暑が続き、熱中症患者が増える。
その一方、日本海では冬でも海面水温が高く、水蒸気が線状降雪帯の雲を作り、寒波到来のたび、容赦ないドカ雪が降る──そんな異常気象が頻繁に起こる確率がいまや急速に増している。
「時折、『冬は冬らしく寒くなる。温暖化なんて嘘だ』と言う人がいますが、実は寒暖の変化が激しいのが温暖化時代の冬の特徴なのです。多くの気象学者が『産業革命前(1850年)の世界の平均気温との温度差が1.5℃を超えると、もう後戻りできないほど、生活に悪影響を及ぼす』と考えています。
というのも、北極の氷やシベリアの永久凍土などがいったん溶けたら、再凍結しないからです。そうなると、人類が経験したことのない予測不能な事態が発生します。
実は、世界の平均気温は産業革命前と2023年を比べると、1.48℃も上昇しています。理論上は『取り返しのつかないアナザーワールド』にほぼ突入しているのです。私たちは気候への意識を高め、危機感を持ち直す必要があるのです」
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