先生が明かす「クラス分けの大前提」
何十人、何百人の生徒がいれば、全員が納得する組み合わせを作り上げるなど不可能な話。ただ、「どうやって振り分けているのか?」という疑問はある。関東地方の私立中学に勤めるO先生(50代/男性)は、その学校でのクラス分け事情についてこう語る。
「うちの学校の場合、まず1年生は入試の成績順。それ以外に情報がないので、入試で1番の子がA組、2番の子がB組と機械的に振り分けます。2年生以降は、トラブルがあった生徒同士を離すのと、休みがちの生徒と仲の良い子を同じクラスにするのが最優先事項。その後は、基本は成績で分けますが、運動能力、絵や歌の上手さなども考慮します。何かに秀でた子にはきちんと『クラスで1番』という気分を味わわせてあげたいですから。
意外と大事なのはピアノです。合唱大会で伴奏が必要なので、ピアノが弾ける子が各クラスに最低1人はいるようにします。あと、リーダーシップも重要な要素。学級委員になれそうな子がいるかどうかもしっかり考えなくてはいけません。それから過去には、別れたカップルを別のクラスにしたことがありました」
学級委員については、「かなり高い確率で、こちらの目論見通りになる」という。
関東地方の公立小学校で教えるN先生(40代/女性)は、クラス分けについてこう語る。
「とにかくクラスごとに大きな差が出ないようにするのが大前提です。勉強、運動、音楽などに加え、授業中にうるさくなりすぎないか、大人しすぎるクラスになってしまわないか、問題児が偏っていないかなど、考える要素はいくらでもあります。
さらに、保護者から要望が入ることもあります。いじめがあった当事者同士を離すのはマストですが、仲が良い子の名前をズラズラとあげて『みんな一緒のクラスにして下さい』と、非常識な要求をする親もいるので、あえて無視することもあります。
レアケースでは、『双子の○○さんは、それぞれ別々のクラスに』という申し送りが来たことがあります。『顔がそっくりで洋服もいつも同じなので、まったく見分けがつかない』という理由でした」
いずれもクラス替えのやり方の1つの例にすぎないが、根底には円滑なクラス運営と“生徒のため”という思いがあるようだ。