今年の確定申告シーズンは、SNS上で「#確定申告ボイコット」が拡散。自民党の政治資金パーティーの裏金問題を受け、納税に不満を持った人も少なくなかったようだが、もし本当に裏金問題を理由に納税を拒否したらどうなるのか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
会社を立ち上げ、苦労したのは個人の確定申告と会社の決算。そう思うにつけ、絶対に許せないのは議員連中の裏金作りです。国税がヤツらに税務調査をしない限り、こちらも賛同者を募って団結し、みんなで納税拒否を貫きたいほど。このまま私が各種の納税を拒否し続けたら、どういう事態になりますか。
【回答】
納税拒否を貫徹するのは危険です。税金は国や自治体などの課税主体が納税義務者に対して有する債権です。借金の返済を怠ると、遅延損害金が制裁として加算され、債務は膨らみますが、租税債権でも同様となり、まずは年14.6%の延滞税が発生します。
また、納税拒否を貫き、納税申告しなくても、税務署は調査して税額を決定できます。そして、税額の10%の無申告加算税が加算されるのです。さらに従業員への源泉所得税の納付をしなければ、不納付加算税も10%加算されます。
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