大学生は「ファストファッションだと服が被る」
実際に古着を好んで着る若い世代の声も聞いてみよう。日頃、服を買う時には高円寺の古着屋がメインだという男子学生のBさん(20歳)は、こう話す。
「僕もそうですけど、少ないアルバイト代で毎シーズン新品の服を買おうとすると、結局ユニクロかGU、ZARAとかのファストファッションになっちゃうんですよ。そうすると、大学生なんてみんな服が被っちゃう。
古着だと、GUくらいの価格帯で買えるものも多いですし、基本は被らない。今の大学生って、私服で古着をミックスするのが定番になっている感じがします。昔は“古着好き”というジャンルの人だけが古着を選んでいたかもしれませんが、今はそういう位置付けじゃなくなっている気がします」(Bさん)
スーツやネクタイも古着屋で調達
4月に新社会人となった男性・Cさん(23歳)は、仕事着のスーツやネクタイを古着屋で調達している。
「既製品のスーツを販売している店の商品は、他のサラリーマンと被りがちなのにくわえ、そこまで安価ではないんですよ。有名なブランドのネクタイが欲しくても、1万~2万円程するので手が出せません。革靴も安い新品を買うと、やっぱり全体的に安っぽい雰囲気のサラリーマンになってしまう。それなら、中古でブランドのものを手に入れた方が質が良いですよね。
もちろん古着屋で調達する理由は質だけではありません。そもそも、僕もそうですが、服に多少なりともこだわりを持っている人は、既製品のスーツや小物類に、そこまで興味が持てないんです。差別化をしたいと思った時に、自然と行き着くのが古着屋だと思います。最近ハマっているのはヴィンテージのネクタイ集め。エルメスやフェラガモなどの個性的なデザインのネクタイが数千円から高くて1万円ほどで買える。それをちょっとずつ集めています」(Cさん)
かつては服にこだわりのある人たちが、趣味の一環としてコレクションしていたイメージもある古着。物価高が進む昨今、新品で良質な服に手が届かない若者や、人と被らないように古着をミックスするトレンドによって、古着はより身近な存在になっているようだ。