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佐川急便とASFが共同開発したBEVの軽バン「ASF2.0」試乗レポート 荷室も広々、出し入れも楽で自家用車としての可能性も広がる

 なおASFは日本企業ですが、独自の生産設備を持たない「ファブレスメーカー」です。車両の開発や製造を中国メーカーが担当し、完成車は日本へ輸出されるため、国内での扱いは輸入車になります。こうした開発から製造までのルートは価格優位性を保つためです。中国製と聞くと軽便なバッテリーカーといったレベルの車両をイメージするかもしれませんが、当然ながらそれとは走りも安全装備も別物です。

広々荷室はアイデア次第で使い道いろいろ

 さっそく商用で使用する軽バンとしての実力を見てみましょう。ひとつでも多くの荷物を積むことが最優先だけあり、リアゲートを開けると広々とした荷室が出現。軽バンとして割り切っているため、乗車定員が2名でリアシートはありませんが、前席以外のスペースはすべて荷室と使えます。荷室の奥行きは1,690mm、荷室幅は1,343mm、荷室の高さが1,230mm、おまけに床も壁もフラットな真四角なスペースがあります。

 メーカー発表によれば、小さな段ボール(幅497mm×奥行き315mm×高さ293mm)なら45箱、大きめサイズ(幅601mm×奥行き450mm×高さ453mm)なら14箱が搭載可能となっています。さらに床下には荷物を運搬するための台車などを収納できるスペースも確保。自家用車として利用する場合、アイデア次第ではキャンプギアやスキー靴など細かな用具の収納スペースとしても使用できます。

 他にも荷室の使いやすさを追求した装備は多くあります。例えば荷室の天井には消費電力の少ないLED荷室照明を装備し、夜間の作業でも重宝。荷室を車中泊に利用する場合でも快適に過ごせそうです。

 こうした軽バンにとって必須装備の左右ドアはスライド式です。両脇にスペースがないような状況でも荷物の積み下ろしで苦労することもありません。またリアゲートを上げた時の間口の広さは幅が1,160mm、高さが1,150mm、そして荷室床の高さが66mmと低めに設定されています。実際に使ってみると重量物や大きめサイズの荷物の出し入れが非常に楽。2人乗りという部分を除けばスキーやボードなどの横乗り系スポーツ、ソロキャンプ、サイクリングなど、使い方は無限に拡がります。

 荷室の高い実用性を理解したところで、次はドライバーシートに座ってインパネやシート周囲など居住空間の質感の確認です。白状すればインパネなどの質感にはあまり期待していませんでした。ところが、しっかりと乗用車レベルを実現していたのです。さすがに乗用車のサクラほどの上質さはありません。それでもチープな感じもほとんどありません。運転席や助手席から確認できる範囲の仕上げには十分に満足できました。

 一方で荷室の作りは鉄板剥き出し部分が少し見えたり、粗い部分を目にすることがあります。ただこの車が本来は荷物を運ぶ軽バンである事を考えれば、問題のないレベルの仕上げになっています。当然ながらこうした合理的な作りによってコストダウンが叶えられています。

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