遺族年金も受け取り可能だが請求が必要
遺族年金も相続財産には含まれないので、相続放棄しても受け取りは可能だ。
「家族を養っている人が亡くなった場合、残された家族の生活を保障すると法律で認められている。遺族年金の受け取りは遺族の固有の権利であり、相続放棄によって妨げられることはありません。また、故人が亡くなった月までの『未支給年金』も相続財産には含まれず、遺族の権利として受け取りが認められています。
ただし、注意すべきなのは年金は自動的に振り込まれるのではなく、請求が必要なこと。遺族年金は故人に生計を維持されていた遺族、未支給年金は故人と生計を共にしていた遺族が受給対象となり、年金事務所などで申し込めます」(同前)
葬儀などに関連して支給されるお金も相続放棄とは関係なく受け取れる。
「故人が加入していた健康保険の給付金である葬祭費や埋葬料は、『同居の親族』などの条件を満たしていれば支給が受けられます」(同前)
また、相続放棄をしても仏壇やお墓といった祭祀財産は受け継いでいける。こうした前提を踏まえれば、「相続しない」という道が有力な選択肢であることはたしかだろう。
※週刊ポスト2024年5月17・24日号