GW中に発表された米国の経済指標をどう読み解くか。特に雇用統計は予想を大きく下回り、「強い米国経済」からの転換を示すものという見方もある。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が各種発表を振り返りながら、今後の投資環境について解説する。
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米国雇用統計とは、アメリカの雇用情勢を調査した統計であり、最も重要な経済指標である。ここで発表される数字の状況は米国の景気の実体を表す最新の数値として、アメリカの政策、外国為替、株式、金利などのマーケットにも大きな影響を与える。
5月3日に4月度米国雇用統計が発表された。また、同日にはISM非製造業指数、サービス業PMIと、重要経済指標が立て続けに発表となった。これらを振り返り、今後の投資戦略を考えたい。
4月度米国雇用統計
雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想24万人前後の増加に対し、17万5000人増加と、予想を大きく下回った。また、失業率は予想3.8%に対して3.9%と、過去2年で最高水準の数値を記録し、これまで強い雇用データを示してきたアメリカにとってはサプライズな鈍化を示した。
また、賃金データについても、平均時給が前月比0.2%と前回発表の0.3%から下がっており、前年比で見ても3.9%と前回発表の4.1%から鈍化を示した。これはアメリカのインフレ沈静化に期待を持たせるデータとして捉えられ、株式マーケットはその日、大きく上昇した。
ISM非製造業指数
米供給管理協会(ISM)非製造業購買担当者景気指数は、非製造業における景況感を示す指標であり、370以上の企業の購買担当者にアンケート調査を行って発表されるものだ。アメリカは製造業よりも非製造業の比率が大きくISM非製造業購買担当者景気指数も注目度が高い。
こちらの購買担当者景気指数(PMI)においては50を上回ると、景気拡大を表わし、50を下回ると景気後退を示すものとされる。今回の発表では予想52.0に対し、49.4という結果発表となり、予想に対して大きく下振れし、景気後退を示すものとなった。こちらもインフレ沈静化に期待を持たせるデータと言えるだろう。