サービス業PMI
同日発表されたアメリカ・サービス業購買担当者景気指数(PMI)は、予想50.9に対し結果は51.3。予想を上回り、節目である50を超える数値だった。しかし、2月に52.5を記録したところからゆっくりと下落トレンドに転じてきているようにも見える。
今後の投資戦略
今回の指標発表は、これまでの強いアメリカ景気に鈍化を感じさせる内容であった。
雇用統計前の5月2日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げへの期待を否定し現状の金利を維持する決定を行い、FRB(米連邦制度理事会)のパウエル議長は「インフレに関する指標は予想を上回っている。確信を強めるまで、従来の想定よりも時間がかかりそうだ」と声明を出していた。しかし、その一方でFOMCは総資産の圧縮ペースを600億ドルから250億ドルへ減速させる計画を発表していたことから、マーケットは高金利ながらも混乱のない状況を期待できる状況にあった。
今回の雇用統計の数字は、FOMCの政策変更を促し、利下げ期待を高めることに繋がるだろう。そうなれば、アメリカの株式マーケットはこれを好感することとなる。
その恩恵を最も受ける銘柄群はナスダック市場を中心とした「マグニフィセント・セブン」、グーグル(GOOGL/GOOG)、アップル(AAPL)、メタ・プラットフォーム(META)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)に、テスラ(TSLA)とエヌビディア(NVDA)であり、特にAIブームの火付け役となっているエヌビディアには期待が高まる。
また、エヌビディアが絶好調であれば、スマートフォン向け半導体で圧倒的なシェアを持ち、2月に市場予想を大きく上回る決算を発表して株価上昇したアーム(ARM)にも期待が集まり、それは半導体市場全体を盛り上げていくことに繋がるだろう。
ソフトバンクグループ(9984)にも期待
その一方でアメリカの利下げ観測は、日本の株式マーケットには必ずしも好感されない可能性がある。アメリカが利下げに向かう一方で日本では利上げ観測が高まっており、これが日米金利差縮小を招くことから、これまで日本株の上昇を牽引してきた自動車を中心とした外需銘柄には向かい風となりかねない。
特に自動車関連銘柄では、日産自動車(7201)など、販売台数が予想を下回る発表をしている企業もあり、仮に円高に振れれば売上、利益に対する影響はさらに大きなものとなる。
アメリカ経済の状況は日本株にとって非常に重要だ。前述したアームが仮に再度上昇に転じていけば、その親会社であるソフトバンクグループ(9984)はアーム株を主要資産として保有していることから、連れ高を期待できる。