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【法律相談】「特定機能薬局」には2種類ある 患者が服薬情報を医療機関に提供するための同意書にサインを求められたらどうするか

「特定調剤薬局」という薬局の制度はない(イラスト/大野文彰)

「特定調剤薬局」という薬局の制度はない(イラスト/大野文彰)

 患者が自分に適した薬局を選択できるようにするため、特定の機能を有する薬局を都道府県知事が認定する「特定機能薬局」という制度がある。この制度は具体的にどんなものなのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 長年、月1回ほど利用している調剤薬局で、「特定調剤薬局に指定してもらうため申込書にサインをして」と言われました。その薬局は接客態度が悪いため好きではないのですが、私の薬が特殊で、ほかに扱っている薬局が見つからないため利用しています。

 そのときはサインを断ったのですが、特定調剤薬局の書類にサインをすると、どんなメリット・デメリットがありますか。(東京都・68才・主婦)

【相談】
 まず、「特定調剤薬局」という薬局の制度はありません。薬局は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)で、「薬剤師が販売等の目的で調剤ならびに薬剤等の情報提供や指導を行う場所」と定義されています。

 このうち、健康保険の適用がある薬の調剤や販売ができる薬局を「保険調剤薬局」といいます。このほか、薬機法では薬局の中から患者が自身に適した薬局を選択できるよう、特定の機能を有する薬局を認定する制度があります。これを「特定機能薬局」といいます。

 特定機能薬局には次の2種類があります。

●地域連携薬局/外来受診時だけでなく、在宅医療への対応や入退院時を含め、ほかの医療提供施設との服薬情報の一元的・継続的な情報連携に対応できる薬局。

●専門医療機関連携薬局/がん等の専門的な薬学管理が必要な利用者に対して、ほかの医療提供施設と密な連携を取りつつ、より高度な薬学管理や高い専門性が求められる特殊な調剤に対応できる薬局。

 ご質問の「特定調剤薬局」とは、「特定機能薬局」のことではないかと思います。2種類ありますが、どちらの特定機能薬局でも知事の認定が必要です。その申請をするのは薬局自身であり、患者や利用者が指定する制度ではありません。

次のページ:メリットはそれぞれの制度目的に沿った特定機能に基づく対応が期待できること
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