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「亡き父の遺骨をペンダントに」と願う非嫡出子に遺族が反発 分骨してもらうにはどうすればよいか、弁護士が解説

 祭祀財産は、通常の相続の手続きの対象にはなりません。民法897条で祭祀財産の権利の承継者に関しては「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」を原則とし、被相続人が指定した者がいれば、その者が承継するとしています。

 なお、慣習もわからず、指定もない場合は、家庭裁判所が決めます。通常は配偶者や子供などの近親者が承継者になります。

 ご質問の内容だと、葬儀は正妻、もしくは嫡出の兄弟が主宰したようです。世間一般の慣習からも、配偶者である正妻等が祭祀財産を承継したものと解されます。あなたが祭祀財産の承継を主張しても、認められる余地はありません。

 そうなると、祭祀承継者ではないあなたが分骨してもらうには、承継者である正妻等の理解を得るほかありません。そのためにも自分の考えを誠実に伝え、納得してもらう必要があります。遺骨をペンダントにしたいほどの思慕の気持ちを、どう説明するかでしょう。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2024年5月31日号

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