厚生労働省の最新統計によると、離婚理由の男性の2位、女性の3位と上位にあるのが「精神的な虐待」、つまりモラハラだ。では、もしもモラハラを受けた場合、どうやって問題を解決すればいいのか──『モラハラ夫と食洗機』を上梓した弁護士の堀井亜生さんと、脳科学者の中野信子さんがモラハラ夫の実態やモラハラの背景について語り合った。【全3回の第3回。第1回から読む】
「スマホの中身は、おれに筒抜けだ!」
中野:堀井さんによれば、モラハラ離婚の相談では、初回の連絡が妻本人ではなく親や友達からというケースがよくあるそうですね。
堀井:夫が「お前のスマホの中身は、契約者であるおれに筒抜けだ」などと夫が嘘をついている場合があり、妻が自分で弁護士の検索や予約ができず、第三者にお願いする場合があるからです。もちろん契約者だから、妻のスマホの中身まで把握しているなんてあるわけないんですが……なぜか妻もそう思い込んでしまっています。
中野:モラハラを受けている人は大きなストレスを受けていますから、一般的な人が常識で考えることのできるような状態にはいないのです。心は目に見えませんが、精神的な暴力を受け、傷だらけで血まみれになっているようなもの。
ハラスメント被害者の最優先事項は「これ以上痛い思いをしたくない」「もう傷を増やしたくない」になるので、とにかく夫を怒らせないようにするにはどうすればよいのかばかり考えるようになってしまうんです。
堀井:たしかに相談に来た当初は、みなさんそのような状態ですね。ただ、話をするうちに少しずつ変わっていきます。私は「まず、支えになるキーパーソンを見つけてください」と言っています。親やきょうだい、友達、子供など支えてくれる人がいると家を出て逃げ出すところまでこぎつけられることが多いです。
中野:如何にして外の世界とつながり、情報を得ていくかが重要ですね。