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モラハラ配偶者と戦うために必要なのは「支えになるキーパーソン」、外の世界とつながり情報を得ることが重要【堀井亜生氏×中野信子氏】

弁護士として2000件以上の離婚・男女問題にかかわってきた堀井亜生さん

弁護士として2000件以上の離婚・男女問題にかかわってきた堀井亜生さん(撮影/平野哲郎)

妻のモラハラに悩む夫からの相談も

堀井:ええ。親や友達に状況を説明し、財産分与に備えて通帳や保険の証書を探すなど、行動してみる。また、モラハラをされていることがわかる会話の録音や動画、メール、LINEなどの証拠集めも大事です。つらいからといってLINEを消去したりせず、嫌な相手こそ向き合うことが離婚への第一歩です。

 一方で、モラハラをするのは夫だけではありません。近年では妻のモラハラに悩む夫からの相談も増えています。妻のモラハラとなると、相手の年収や学歴をバカにしたり、夫の小遣いを極端に減らして経済的に縛ることが多いです。

 モラハラ妻の共通点としては、学歴、職歴、生い立ちなどコンプレックスを強く持っている女性であることが多いです。

中野:コンプレックスのせいで外では堂々と振る舞えない。でも、夫は結婚という“契約”によって、自分のテリトリーに入っている人だから、攻撃しようと問題ないと思ってしまっているんでしょう。

堀井:ここでも、中野さんが指摘していた自尊感情の低さが見え隠れしますね。

中野:男女問わずモラハラを擁護する気はありません。ただ、加害者には共通する要素があり、その点では、社会構造のひずみによって歪められてしまった犠牲者ともいえるのではないでしょうか。

堀井:そうですね。モラハラは個人の問題だと捉えられがちですが、社会や教育、家族のありかたの問題なのかもしれません。

中野:そう考えると誰にとっても他人事ではありません。まずはモラハラをどこか遠いところの話でなく、誰にでも起こり得ることなんだと捉える必要がありますね。友人から相談を受けたときにも「夫なんてそんなものだよ」ではなく「モラハラだね」と真剣に受け止め、適切な対処を取る助けができるといいですよね。

 そうした状況に対して、社会全体が持つ対応策の引き出しがたくさんあるということが、本当に豊かで成熟した社会の証なのではないかなと思います。

(了。第1回から読む

【プロフィール】
堀井亜生(ほりい・あおい)/札幌市出身。弁護士。中央大学法学部卒。堀井亜生法律事務所代表。離婚・男女問題の取り扱い実績が多く、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)のレギュラー出演をはじめ多くのテレビ番組に出演している。

中野信子(なかの・のぶこ)/東京都出身。脳科学者。フランス国立研究所ニューロスピンにて博士研究員として勤務(2010年帰国)。東日本国際大学特任教授。京都芸術大学客員教授。研究・執筆を中心に活動する傍ら、テレビやウェブメディアでもコメンテーターとして人気を集めている。

取材・文/音部美穂

※女性セブン2024年6月6日号

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