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【介護業界の危機】基本報酬引き下げで訪問介護から手を引く経営者が増加、円安で人材の海外流出も懸念

80代のヘルパーも今は当たり前(現場で働く畑岡さん)

80代のヘルパーも今は当たり前(現場で働く畑岡さん)

自宅に来てくれるヘルパーさんがコロコロ替わる

 栃木県在住の80代男性は頼りにしていた訪問介護サービスを十分に受けられなくなったと話す。

「もともと週4日ほどヘルパーさんが自宅に来てくれていたのですが、今年の初めに『人手が足りないので日数を減らしてください』とお願いされました。身の回りの世話のために東京から通ってくれていた息子が、仕事を辞めてこちらで再就職しました。それ自体は嬉しいのですが、『介護のために収入が減った』『お金がない』と愚痴をこぼすようになりました」

 在宅で受けられる介護保険サービスが手薄になれば、負担はそのまま家族にのしかかりかねないわけだ。いきなり訪問回数を減らされるという事態まで至らないにしても、「自宅に来てくれるヘルパーさんがコロコロ替わるのでお願いしたことが徹底されない」(東京都在住の70代女性)といった声が各地で聞こえてくる。

 ある介護事業所のスタッフはこんな言い方をした。

「訪問介護の仕事は大きく分けると、『生活援助』と『身体介護』の2種類ですが、前者は単価が低い。うちは大手ですが、『生活援助』の仕事は断わるようになってきました。要介護の人からのすべての依頼を受けようとするのではなく、売り上げにならない仕事は事業所がどんどん断わる流れになってしまう心配が出てきています」

次のページ:円安で外国人ヘルパーも雇いにくくなる
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