エヌビディアに続く銘柄は?株式市場で続くあくなき“宝探し”
現在チャットボットが市場の注目を集めているが、AIは自動運転技術において大きな役割を演じる。その部分ではテスラが業界内で突出している。そのほか、創薬、合成化学などの工業用途にも利用される。あまり考えたくはないが、軍事用途としても戦力を劇的に向上させるのに決定的な貢献をするとみられている。投資家の視点からすれば、現在、数十年に一度のビッグチャンスが到来しているようにみえる。
インターネットの普及、デジタルデータの爆発的な増加が背景にあり、ここ十年足らずの間に深層学習が飛躍的な進歩を遂げた。もっとも、現段階ではAIサービスそのものは黎明期にあり、市場規模は小さい。ベンチャー企業も参入しているが、ほとんどが巨大資本の大企業であるため、全体の収益におけるAIサービス収入の割合は微々たるものだ。現段階ではこのテーマだけで、関連大手企業の株価が何倍にも上昇する可能性はなさそうだ。
AIの開発には、優れたソフトウエア、つまり、正確に、スピーディーに問題を解決できるアルゴリズムの開発が不可欠ではあるが、同時に大量のデータとそれを学習するハードウエアも必要だ。ソフトウエアの開発には優秀な人材を確保する必要があるが、かといって数が多ければ多いというわけではない。一方、ソフトウエアの学習、推論には大量のデータとそれを高速に処理するハードウエア(GPU)が必要だ。現在の開発の焦点は、学習に必要なハードウエアとしての質の高いGPUを如何にたくさん使うかに絞られており、その点でエヌビディアが現在、AI革命で最も恩恵を受ける企業となっている。
1849年、カリフォルニアで始まったゴールドラッシュでは、誰が最も儲けたかといえば、金を掘り当てた人ではないと言われている。スコップやつるはしなどの道具、ジーンズなどの丈夫な作業用ズボンを製造販売する人たちや、労働者の輸送に携わったり、かれらの飲食、宿泊施設を営んだりした経営者たちが巨額の富を得たそうだ。
今後もトレーニングや推論に必要なAIサーバー(GPU)の容量が飛躍的に増えることになりそうだが、それを物理的にサポートするデータセンターへの需要が拡大する。作動させるための電力が必要になる。そうした意味では、電力会社は有望だろう。エヌビディアの最大の競合先であるAMDはどうだろうか。エヌビディアは自社で生産しているわけではなく、TSMCなどに生産委託しているが、TSMCの取引先で需要が伸びるところはどこだろう。その他の半導体メーカーの中にも恩恵を受ける企業はないだろうか──。株式市場では日々、あくなき“宝さがし”が続いている。