金利上昇に伴い、運用利回りが上昇すれば保険金や解約返戻金を増やせる可能性がある変額保険に対する関心が高まっている。運用の成績によって受取額が変わる変額保険は、どのような特徴があるか、注意すべき点は何か。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第95回は、「変額保険」について。
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金利上昇に伴って保険に対する関心が高まっています。とくに保険料で運用し、運用の成績によって受取額が変動する変額保険に興味を持つ人が増えているようです。
「変額保険」といえば、運用がうまくいかなくて、過去に訴訟問題に発展したことなどもあり、あまりよい印象をもっていない人もいると思います。ただし、現在では、法整備がすすみ、変額保険の勧誘に際しては「適合性の原則」にしたがって行わなければなりません。その人に合った商品を販売・勧誘すること(適合性の原則)や商品の仕組み、リスク、コストがわかるように記載した書面を交付すること(書面交付義務)が義務付けられました。
死亡保険金には最低保証額が設定
変額保険は、その名のとおり、運用次第で受け取る保険金額が変わる保険です。契約者から預かった保険料を、株や債券などで運用し、運用がうまくいけば受け取る保険金は増えますが、運用が不調であれば元本割れの可能性もあります。また、外貨建ての変額保険の場合は、外貨で保険料を払い込み、外貨で受け取りますので、為替のリスクも負うことになります。受け取るときに円高が進んでいれば、受取額が減少してしまいます。
ただし、死亡時に受け取る死亡保険金は、契約時に最低保証額(基本保険金額)が決められているため、運用が不調でも最低額を下回ることはありません。かりに運用がうまくいっていれば、受け取る額が増えます。遺族のための死亡保険金として活用するには適しています。
また、保険料をまとめて払う一時払いで終身型を契約すれば、相続税の課税対象になる資産を減らすことができるため、節税対策にもなります。自分の老後資産の形成のためではなく、遺される家族のためと割り切れば、変額保険は魅力的な金融商品です。