「なにわの台所」と呼ばれ、府民の胃袋を満たしてきた大阪・ミナミの「黒門市場」。野菜や鮮魚、精肉など、新鮮な地元の食材を安価で売ることで知られ、170ほどの店舗が軒を連ねる。
関空に格安航空会社が乗り入れた2011年頃から外国人観光客が増加。コロナ禍でインバウンド需要は一時落ち込んだものの、今ではコロナ前を上回る賑わいを見せ、1日約2万4000人の外国人観光客が訪れているという。
現地を歩くと、平日の昼間にもかかわらず狭いアーケード街は外国人観光客で溢れかえり、なかなか前に進めないほどごった返していた。
店先にはタラバガニや牡蠣、ウニなどの商品を山積みにした販売カウンターがせり出し、その場で飲食ができるようにテーブルや椅子が置かれている。商品をスマホで撮影する人だかりや、立ち止まって串焼きを食べる集団で通行が滞っていた。
「東南アジアの屋台文化に似ているなどの理由で、コロナ前はアジア圏からの観光客がほとんどだったが、コロナ後は欧米人が増え、生魚を食べる人も見かけるようになった」(黒門市場の飲食店店主)
往来をじっくり観察すると中国、韓国、台湾などアジア圏の観光客が8割、あと2割が欧米圏。日本人観光客や地元の買い物客はほとんどいない。
インバウンド需要で市場が盛り上がる半面、トラブルも発生しているという。欧米人が珍しそうに店先の刺身を突いたり、食べ歩きしていた客が串などをポイ捨てするため、道路脇に無造作に捨てられたゴミが散乱している。