S&P500の高値を牽引しているのは一部のハイテク銘柄
6月8日、S&P500の年初来業種別パフォーマンスの集計結果が発表されています。その内容を見ると、S&P500全体の上昇率は年初来で+12.1%となっている一方で、この指数の上昇率を超えた業種は「通信」(22.5%)と「ハイテク」(21.4%)のわずか2業種のみでした。残りの9業種はすべて、S&P500全体のパフォーマンスを下回る結果となっています。
この結果から、S&P500の高値更新を牽引しているのは、実質的には一部のハイテク株であることが浮き彫りになりました。特に「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる銘柄群が大きな原動力となっています。その中でも、エヌビディアの株価の急騰が特に強い影響を及ぼしていることは明らかです。
このような一部の銘柄や株価指数には、複数のテクニカル指標で短期的に過熱感がある状態を示しています。
中小型株指数ラッセル2000は低迷
5月の雇用統計が発表された同週、米国の主要3指数(S&P500、NASDAQ総合、NYダウ)はすべて上昇しましたが、中小型株指数であるラッセル2000は▲2.1%の下落を記録しました。この下落により、ラッセル2000は主要なテクニカル指標である13週移動平均線を割り込み、26週移動平均線とほぼ同じ水準にまで下がっています。S&P500が史上最高値圏にいる一方で、ラッセル2000が低迷してしまっていることが分かります。
ラッセル2000は、S&P500やNASDAQとは異なる業種構成を持ち、より実体経済に沿った銘柄が多く含まれています。ラッセル2000の主要な業種別構成比を見ると、上位には以下のセクターが挙げられます。
・資本財・サービス(約17%)
・金融(約16%)
・ヘルスケア(約15%)
・情報技術(約15%)
これらのセクターは、米国の実体経済に密接に関連しています。特に、資本財やサービス業、金融、ヘルスケアは、経済の健全性を直接反映するセクターです。これに対して、S&P500やNASDAQは、大型のハイテク企業やグローバル企業が中心で、異なるパフォーマンスを見せることが多いです。