住まい・不動産

「リノベ済み中古マンション」を見た目や手頃さに惹かれて即決購入するのはちょっと待って 確認すべきは配管設備や断熱性能などの「見えない部分」

リノベ中古マンションの購入で気を付けることとは(イメージ)

リノベ中古マンションの購入で気を付けることとは(イメージ)

 マイホームは人生の中でも一、二を争う高い買い物。一生に一度の買い物で失敗をしないためにはどうすればよいのか。さくら事務所会長の長嶋修氏がマンションにまつわる様々な「落とし穴」を実例とともにまとめた新刊『マンションバブル41の落とし穴』から、リノベ中古マンション購入で失敗しないためのポイントを解説する。

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 新築の大規模マンションが好まれる一方で、中古マンションも売れています。人気エリアの駅近物件は、新築マンション価格の高騰に引っ張られて価格が上昇。築浅の物件が人気ですが、築古の味わい深いマンションにも一定のニーズがあり、ヴィンテージマンションなどと呼ばれて注目を集めています。

 中古マンションを買えば、自分で好きなようにリフォーム・リノベーションすることができますが、あらかじめ不動産会社が中古の物件を購入し、リフォーム・リノベーションを施したうえで再販することもよくあります。

 大手デベロッパーの新築マンションはたしかに住みやすいですが、内装にはあまり個性がありません。これに対し、リノベ済み中古マンションは漆喰壁にモルタル床だったり、あえて配管がむき出しになっていたりと、一般的な分譲マンションとは趣の異なるおしゃれな内装の物件がたくさんあります。

 リノベ済み物件を購入する場合、自分で中古物件を購入してリフォーム・リノベーションをするよりも、内装工事費用やデザイン料などが上乗せされているので価格が上がりますが、新築マンションを買うよりはずっと安上がりです。同じエリアで、同じサイズ感の新築マンションと比較すると、おおむね2~3割は安く買えるでしょう。

 リノベーションで中古物件を蘇らせることは、空き住戸が急増する団地の再生などにもつながります。無印良品がUR都市機構と組んで、団地リノベーションプロジェクトを行っていますが、これも社会的に意義のある活動と言えるでしょう。

 ただ、リノベ済み物件のおしゃれさ、手頃さに惹かれて即決で購入するのは危険です。特に築古物件は構造や配管設備、断熱性能など目に見えない部分がどうなっているかを入念に確認する必要があります。適切なタイミングで維持修繕がされていなければ、買った直後に想定外のリフォームが発生する事態になりかねません。旧耐震基準の場合にはマンション全体の耐震補強工事の履歴も確認すべきでしょう。

 中古物件を買って、スケルトンにしてから自分でリノベーションする場合は、構造や設備の状態をあらかた確認できますが、すでにリノベーション済みだと新品の壁や床を剥がすわけにもいかず、チェックの難易度が上がります。住宅診断ができるホームインスペクターに調査してもらってから購入を決めるのが無難です。

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