英国からも、韓国からも
観光客のみならず世界の企業が京都に“学び”を求める動きもある。
「もともと京都府は各市やジェトロ京都などと協力し、外資系企業との交流、受け入れに力を入れてきた歴史があります。1989年には大阪ガスの工場跡地に研究やベンチャービジネスの拠点となる『京都リサーチパーク』がオープンし、現在は英国の燃料電池メーカー・セレスパワーや、韓国の電子部品メーカー・LGグループなど外資系を含む500社が入居中です。
進出当初は1人か2人の駐在員でスタートして、徐々に規模を大きくして日本法人を設立するパターンが多い。京都は未上場でありながら技術を持ったハイテク企業が多く、共同開発するパートナーとして連携が取りやすいことも魅力的なのでしょう」(全国紙経済部記者)
海外の企業との産学連携も盛んで、京都大学の「ベンチャーインキュベーションセンター」に駐在員を置く外資系企業も少なくない。2019年4月にはジェトロ京都が核となり、京都府や京都市、京都商工会議所などと「京都海外ビジネスセンター」を開設。同センターの集計によれば2019~2023年度に16社の外資系企業の誘致に成功したという。
東京や大阪でなく京都に拠点を構える外資系企業が増えている理由について同センターの広報担当者はこう言う。
「京都市は市民の1割が大学生なので若手の人材を確保する面で有利ですし、京セラやオムロンなど世界的に有名な企業、京大などの研究機関が豊富なため協業先の候補も多い。また事業継続計画の観点で、東京から一定の距離があり、津波などの災害リスクがないことも魅力的に映っていると聞きます。今後京都は『外資系企業の拠点』としてもますます発展していくものと考えています」
京都企業が世界に飛び出し、世界の企業が京都に集まる──“KYOTOブランド”の快進撃は、さらに勢いを増している。
※週刊ポスト2024年8月2日号