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航空業界が直面する「三重苦」 パイロット・整備士・空港業務従業員のすべてが不足する綱渡り状況

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

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グラハン、保安検査員、そして航空管制官も足りない

 人手不足は、空港業務に携わる職種にも及んでいる。

 例えば、グランドハンドリング(グラハン)と呼ばれる職種だ。航空機の駐機場への誘導、燃料給油といった「ランプ業務」と、手荷物の預かりや仕分けなど「旅客ターミナル業務」、荷物を航空機に搬送し貨物室への積み下ろしを行う「貨物ターミナル業務」と多様だが、グラハン主要61社に対する国交省の調査によれば、ランプハンドリング従業員は2019年3月末の約1万2200人から、2023年4月には1割ほど少ない約1万1000人となった。旅客ハンドリング従業員も1万4100人から1万1500人へと2割ほど減った。

 空港業務に関しては保安検査員の不足も進んでいる。保安検査業務を行っている20社で見ると2020年4月は約7400人だったが、2023年4月には約5700人と2割強減った。すべてのレーンを稼働させることができず、空港が混雑する風景が珍しくなくなったのも、こうした理由からだ。

 航空管制官も2006年以降減少傾向に転じ、2005年には4985人だった航空管制官等定員数は、2023年は4134人に減った。

 一方、取扱機数はコロナ禍期を例外として増えている。このため1人あたりの業務負担量も拡大する見通しで、航空管制処理能力のオーバーキャパシティがかねて懸念されてきた。2024年1月に起きた羽田空港の航空機衝突事故については「1分間に1・5本の航空機が離着陸するとされる羽田空港の過密さが遠因」との見方もあるが、この事故の後も多くの空港で航空機同士の接触や大事故につながりそうなトラブルが起きている。

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