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小林製薬「紅麹サプリ問題」でトップ辞任 新社長は創業家に極めて近い“番頭”、創業家の経営への関与は続くのか? 広報の回答

小林製薬の前社長・小林章浩氏は補償担当役員として会社に残る(時事通信フォト)

小林製薬の前社長・小林章浩氏は補償担当役員として会社に残る(時事通信フォト)

 ついに「トップ交代」の決断が下された。7月23日、小林製薬は臨時取締役会を開き、小林一雅会長(84)と小林章浩社長(53)が「紅麹」問題の責任を取って辞任することを決定。山根聡専務(64)が社長に昇格する。創業家による経営が終わるが、問題は山積みだ。経済ジャーナリストの有森隆氏が言う。

「同時に公表された外部委の検証結果では、2年前に青カビの発生を認識していたことなどが新たに発覚した。山根新社長は信頼回復に向けた難しい舵取りが求められる」

 思い出されるのが昨年、不祥事によって創業家親子が辞任したビッグモーターだ。同社は伊藤忠商事に買収され、創業家を経営に関与させない新会社「WECARS」として再出発した。似通う点は多いが、有森氏は「状況は異なる」と指摘する。

「ビッグモーターの場合、伊藤忠が損害賠償の原資として創業家の所有する株式をすべて吐き出させた。小林製薬は財務基盤が堅固なのでそれは考えにくい。加えて山根新社長は会長室長や財団の評議員を務めた創業家に極めて近い“番頭”です。

 一雅会長は取締役から外れるが、章浩社長は残ります。紅麹問題では社外取締役に報告がなかった点が問題とされた。今後も社外取が機能しなければ、小林家による“院政”が敷かれる可能性もあるでしょう」(同前)

 同社に今後も小林家が経営に関与するのではないかと問うとこう答えた。

「新社長の山根のリーダーシップのもとで運営していく所存であり、創業家が事実上の経営トップとして経営に関わるということはございません。なお、小林章浩は補償担当役員として新社長を全力で支える意向です」(小林製薬広報・IR部)

 言葉通り、本当に“支える側”に回れるか。

※週刊ポスト2024年8月9日号

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