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世界最先端の技術で「鉄道高速化」を実現してきたフランスのプライド TGVが「574.8km/h」達成時には車両がセーヌ川をパレード

鉄輪式鉄道の可能性を世界に知らしめたTGV

 その後フランスは、日本に迫ってきました。1981年9月には、同国最初のTGVが営業運転(最高速度は260km/h)を開始し、営業最高速度において日本の新幹線を抜きました。1990年5月には、TGV特別編成が515.3km/hを記録し、初めて500km/hの壁を越えました。そして、先ほど述べたように、2007年4月には別のTGV特別編成が574.8km/hを記録しました。これは、2003年12月に日本の超電導リニア(超電導磁気浮上式鉄道)の記録(581km/h)に迫るものであり、鉄レールの上を鉄車輪が転がって駆動する鉄輪式鉄道の可能性を世界に知らしめました。

鉄輪式鉄道世界最速記録(574.8km/h)を樹立した瞬間の運転室の写真。シテ・デュ・トラン(フランス鉄道博物館)にて筆者撮影

鉄輪式鉄道世界最速記録(574.8km/h)を樹立した瞬間の運転室の写真。シテ・デュ・トラン(フランス鉄道博物館)にて筆者撮影

 こう見ると、フランスが、自国のプライドにかけて積極的に鉄道の高速化を実現してきたかがわかりますね。

 なお、現在の鉄道世界最速記録は、603km/hです。これは、2015年4月に日本の超電導リニアが樹立した記録で、ギネスブックにも認定されています。

 いっぽう、鉄輪式鉄道においては、現在もフランスの574.8km/hが世界最速記録となっています。

【プロフィール】
川辺謙一(かわべ・けんいち)/交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所勤務をへて独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。最新刊『最新図解 鉄道の科学』(講談社ブルーバックス)ほか、著書多数。

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