「物流2024年問題」解決の切り札として期待されているのが、海外から日本に入ってくる労働力だ。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の「日本の将来推計人口」(2023年推計)によると、外国人人口は2040年まで毎年16.4万人増えると想定されている。だが、外国人労働者の受け入れが人手不足の解消に直結するわけではない──。
人口減少問題の第一人者で、最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題のジャーナリストの河合雅司氏(人口減少対策総合研究所理事長)が解説する(以下、同書より抜粋・再構成)。
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「物流2024年問題」に対処するため、政府では外国人運転手を増やすことも検討されているが、右側通行の国の人々は慣れない「左側通行の日本」を避ける傾向にあるとされる。当て込むほど外国人運転手が来日しない可能性があるということだ。
機械や外国人による代替には限界がある以上、運転手が減ることを織り込んで業界を土台部分から大胆に変えざるを得ないだろう。
まずは業界の下請け的な立場を改善し、運送会社の経営基盤を強化することだ。それには、「一刻も早く運ぶ」ことを優先する業界の慣行を見直す必要がある。
トラックがどれだけ荷物を積んで走っているかを示す「積載率」という指標があるが、国土交通省によれば2010~2022年は40%以下の低水準が続いている。行きは満載でも、帰りは荷台が空のまま走るといったことは珍しくないためだ。運転手不足が問題となっているのに、6割のトラックが「空気を運んでいる」というのは異常であろう。
積載率を高められれば、必要となる運転手数はかなり圧縮できる。運送会社の収益も大きく改善するだろう。経営に余力ができれば人件費の底上げも図れる。
そのためには、6万3000社以上もある中小の運送会社が過当な競争を繰り返している現状を改善しなければならない。急ぐべきは、競争から協業へのシフトだ。