若い人の話やものの見方を楽しむ
「こうあるべき」思考になってしまうのは、暗黙の常識という「バイアス(先入観)」を基準にしてしまうからだと金間さんは指摘する。
「2人の異なるタイプの女性アスリートがいたとしましょう。特にシニア層のかたは、不器用だけれどコツコツ頑張るタイプを応援したくなり、SNSで華やかな姿を発信するタイプは、『ふまじめだ』と嫌いがちです。
でも、楽しいことを発信したからといって、その選手が怠けているわけじゃないですよね? それも根拠のない『バイアス』です」
どうしたらバイアスを取り除くことができるのか。
「若者の意見を『けしからん』と拒絶する前に、『へえ、そんなふうに思うんだ』と一度受け止めてみてはいかがですか? その結果『やっぱり理解できない』でもいいんです。無理に共感する必要もなくて、違いをオープンに楽しめばいいと思うんです」
1つずつ、心のバイアスを取り除けたら、もっと生きやすくなりそうだ。
【プロフィール】
金間大介さん/金沢大学教授、東京大学客員教授。イノベーション論を専門とし、教育や人材育成にも精通する気鋭の研究者。近著に『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと』(PHP)がある。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2024年8月22・29日号