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《高齢者の詐欺被害対策》物忘れが出た一人暮らしの父の銀行口座が凍結されそうに…困った娘が頼った「家族信託」の効果 「成年後見」と何が違うのか

「成年後見制度」も詐欺への対応力は高い

 認知症や知的障害などがあり、財産管理などを本人が行うのが難しい場合、それらを家庭裁判所が選任した「後見人(家族や親族、あるいは弁護士や司法書士などの専門家など)」が担う「成年後見制度」がある。これと家族信託はどう違うのか。司法書士法人ソレイユの代表司法書士、杉谷範子さんが解説する。

「家族信託も成年後見制度も、第三者に財産を管理してもらうという点では同じです。

 成年後見制度を利用するには、認知症を発症し判断能力が不十分になったのち、認知症の診断書などの書類を揃えて家庭裁判所に申し立てをします。後見人を選ぶのは家庭裁判所で、家族を選んでもらえるのか、弁護士や司法書士など専門家なのかは、裁判官が決めることなので、選ばれるまでは分かりません。

 後見人が決まったら、原則途中で変えることもできず、途中で止めることもできず、一生続きます。なお、申立の手続きは少々煩雑で、司法書士や弁護士に依頼する人も多いようです。

 成年後見人をつけると、仮にご本人が何かの契約書にサインしても、後から後見人が取り消すことができるなど、詐欺被害の対応策としては有効です。が、一方で、本人や家族が必要だと思うお金であっても、後見人が『ぜいたく』と判断すると使えません。専門家が後見人になると、報酬もかかります。一般的に月2万〜3万円程度で、1年で数十万円、10年で数百万円にもなります。保有している金融資産で報酬の計算をするのですが、月20万円以上になるときもあります」

 成年後見制度は、本人や家族の自由度が著しく制限される分、詐欺への対応力は高いが、専門家の費用が10年で数百万円もかかるため、それなりの資産家でないと使いづらいのが実情のようだ。

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