一方で総合型選抜を拡大する動きも
一方で、古くから「学力のみで合否を決める推薦入試」を導入済みの近畿大学は、これから総合型選抜を拡大していくという。近畿大学をはじめとした関西の大学は、従来、学力重視の推薦入試をしてきたが、今後はさらに幅を広げたいようだ。
「例えば、情報系の学科でも工学的なアプローチをするところと、社会学的なアプローチをするところなどがあります。その学科の学びの内容を理解し、明確な目的意識や情熱を持っている方に総合型選抜入試は適していると考えています。例えば、優れたプログラミングスキルを持っている等、これまでに取り組んだ探究などの成果を入学後の学びにつなげる“尖った能力”を持つ方の入学に期待しています」(近畿大学入学センター事務部長・河原陽子氏)
国が推薦入試拡大を推奨し、受験生も年内入試を求めるからには、大学はそれに応える必要があろう。大学としても早期に学生を確保したい希望もある。それと同時に大学で学べる能力がある学生がほしいという思いもある。能力のある学生を選抜するツールとして学力重視か、それ以外をみるのか。様々な試験が行われている現状に、「学力のみを評価する推薦入試」が関東でも導入されることになった。
大学の入試改革は続くようだ。見守りたい。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。【Xアカウント】@sugiyu170