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【悠仁さまと東大推薦入試】トンボ論文「特権」批判が的外れといえる2つの理由 一般受験生の提出書類にも「大人の添削」は当たり前、研究者としては不自由な立場

悠仁さまの論文の舞台となった「赤坂御用地」(写真:イメージマート)

悠仁さまの論文の舞台となった「赤坂御用地」(写真:イメージマート)

 大学進学を控える秋篠宮家の悠仁さまは、トンボを題材とした学術論文を発表するなど課外活動が話題となっている。その実績を活かして東京大学の推薦入試(学校推薦型選抜)を受験するというシナリオが有力視されているが、その研究自体が「特権」を活かしたものではないか、という批判も一部にある。『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートするシリーズ「悠仁さまと東大推薦入試」。【全4回の第2回。第1回から読む

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 悠仁さまのご進学先の大学がどこになるかということが注目されている。悠仁さまがトンボ研究の第一人者たちと論文を書いたことから、「この論文を探究学習の実績として利用し、東大に学校推薦型選抜で入るのでは」という憶測がされ、「一流の研究者との共著の論文を実績としてあげるのは『特権』ではないのだろうか」という批判も一部で起きている。

 2024年6月12日配信の「デイリー新潮」では、“金持ちの子弟が高名な専門家を雇い共著論文を執筆してもらえば合格できてしまう”という意見も紹介している。

 前回はその批判への疑問を呈した。論文を共同で書いた場合、論文全体のクオリティではなくその論文の中で悠仁さまが担当した部分が評価の対象とされるので「特権」には当たらないのではないかと指摘した。

 また、現在、一般の受験生が推薦入試で提出するレポートやプレゼン書類、志望理由書(エントリーシート)には大人の手が入っていると考えるのが妥当だ。ようは学校の教師や推薦入試対策塾講師が添削をしているのだ。大手予備校だと添削に回数制限を設けているケースもあるが、中小塾だと無制限で添削をするところもある。これらのプロ講師の添削が入った提出書類には、「大人に添削してもらいました」という記載はない。

 一方で、悠仁さまは学術論文としては当たり前だが、大人の研究者と共同で作成したことを明確に提示している。東大の推薦入試を受験することを目標とした場合、あそこまで完成度の高い論文にする必要はないようにも思える。それよりは誰かに指導を仰ぎながら、悠仁さまが一人で書いた体にした論文で勝負をすることもできたはずだ。しかし、そういったことはせず、今回の論文については、きちんと作成に携わった大人、宮内庁の職員の名前までを明記していて、正々堂々とされていると思える。

 この件について、大手予備校で推薦対策の指導をしている講師たちも私同様に「悠仁さまが批判されるのは的外れだ。むしろ、ご立派だ」とコメントしている。

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