「すべて更新」は現実的なのか
これまでの人口減少対策といえば、各地における「不足」する部分に対して、どう穴埋めするのかという政策が中心だったが、こうした「現状」を前提とした発想や手法では長くは続かない。
人口が激減してしまった未来を見通したとき、老朽化した水道管をすべて更新することが現実的なのかが問われているのだ。それはすべての公共サービスにも言えることである。
水道管を更新する一方で、例えば雨水を飲料水に変える装置を技術進歩させ、多くの世帯が手ごろな価格で利用できるようにするといった取り組みも必要になってくるだろう。いくつもの選択肢を組み合わせ、それぞれの地域の未来に適した対策を考えることが求められる。
全国各地で相次ぐ水道料金の大幅値上げから“未来へのメッセージ”を読み解かなければならない。
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、「今後100年で日本人人口が8割減少する」という“不都合な現実”を指摘した上で、人口減少を前提とした社会への作り替えを提言している。