日本選手のメダルラッシュに湧き、大いに盛り上がったパリ五輪だったが、アスリートに対するSNS上での誹謗中傷が大きく問題視された。思うように結果が残せなかった選手や応援していた選手に勝った選手への批判、さらには微妙な判定を下した審判への罵倒など、目を覆うような言葉がネット上に多数飛び交っていたのだ。
SNSでの誹謗中傷や不適切発言は長らく問題視されているが、一向に解決しない。相手を傷つけようという意図がある投稿は言語道断だが、なかには誹謗中傷という意図がなく、ただ感情的になって投稿しただけというものも多い。つまり、知らぬ間に自分が加害者になっているケースがあり、誹謗中傷が身近な問題であると認識していないユーザーも少なくないということだ。
推し活アカウントがいつしか愚痴アカウントに
では、自分が誹謗中傷の加害者にならないためには、どうしたらいいのか。会社員のAさん(30代女性)は「複数アカウントをやめたら、SNSに感情をぶつけなくなった」と話す。
Aさんは、とあるK-POP系グループの大ファン。そのグループが結成されたオーディション番組もずっと見ていた。
「もともと友人にも公開している表のXアカウントがあったのですが、そのオーディション番組が始まったときに、K-POP関連のことだけを投稿するための別アカウントを作りました。いわば“推し活専用アカウント”ですね。そこでは番組を実況したり、感想を投稿したりもしていましたが、文句や不満を投稿することも多かったんです。
K-POP系のオーディション番組では、密着の様子が放送される時間が長い練習生と短い練習生がいて、その差が激しいんです。頑張っているところはあまり取り上げられず、協調性がないところばかりが取り上げられる練習生もいます。私の推しの練習生の放送時間が短いと、どうしても反射的に愚痴を投稿してしまう。長い時間放送されていたほかの練習生が羨ましいあまり、妬みの感情をぶつけた投稿もありました」(Aさん・以下同)