歴史的な乱高下で混乱を見せた8月前半の株式市場。投資ブームに冷や水を浴びせる格好となったが、ほかにも、個人投資家のモチベーション低下を招きかねない懸念材料が皆無とは言えない。上場企業による「株主優待」の廃止・縮小が拡大傾向にあるからだ。
配当金「無配」より残念
近年、株主優待を廃止・縮小する企業が増加している。直近では、低価格イタリアンチェーンを展開するサイゼリヤ(東証P・7581)、ケンタッキーフライドチキンを運営する日本KFCホールディングス(東証S・9873)、食品メーカーの永谷園ホールディングス(東証P・2899)が相次いで株主優待の廃止を決定した。これらの株を有する個人投資家(60代男性)が語る。
「年に1~2回もらえる各社の優待は、食事券や自社商品の詰め合わせなど。金額にして1000~2000円程度のものですが、やはり利益実感は大きい。自分も“株主のひとり”という実感が沸き、わずかな配当金をもらうより楽しみは大きかった。優待廃止後も株は持ち続けますが、個人投資家のささやかな楽しみが奪われた気分。正直、配当金の『無配』より残念です」
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