海洋散骨事業で3000件の実績
高瀨氏が着目したのが、神社による「弔い」だった。
「お葬式やお墓など、弔いに関連するものはお寺さんのイメージが強いのですが、日本には仏教が伝来する以前からの、神式での弔いの伝統もあります。神社がその役目を果たしても、なんら問題はありません」(高瀨氏)
お墓の維持を負担に感じる人が増えていることから、高瀨氏は「お墓のいらない海洋散骨」に取り組むこととした。
和布刈神社での告別式と海洋散骨、さらに年3回行なわれる慰霊祭による永代供養を組み合わせた弔いの形式を「神前葬」と名付け、2014年に事業をスタートさせた。基本プランは、すべて合わせて62万円(火葬料別)となる。
当初は、墓じまいに際してそこに納められているお骨を海に散骨したいといった申し込みもあり、これまでに3000件の海洋散骨を実施したという。「神前葬」については、存命中の本人からの申し込みが多く、事業のスタート以降、約170件の依頼があったが、依頼者が亡くなって初めて葬儀を行なったのは2023年12月のことだという。
新築した葬儀会館で執り行なう告別式では、古来の船による弔い「舟葬」をイメージして浅い水槽に水を溜め、そこに棺を置いて弔う。その後、火葬して門司港から専用の船で関門海峡の巌流島付近で散骨する流れだ(同乗する場合は別料金)。
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