マネー

年500万円だった収入が1.4億円に 福岡・和布刈神社の30代神主が取り組む「稼げる神社」への業態チェンジ

人気の幸ふく釣りみくじ。竿の先についた針で釣り上げる

人気の幸ふく釣りみくじ。竿の先についた針で釣り上げる

「正月」をずっと気に懸けていた祖父への思い

「私は今、39歳です。もともとは大学を出た後、サラリーマンとして普通に就職することを考えていました。父親が元気なうちは神社の運営は任せて、将来的に父が働けなくなったら、跡継ぎとして神事に携わるつもりでした。和布刈神社のような規模だと、それがオーソドックスな人生設計でもあります」(高瀨氏)

 しかし、高瀨氏は2009年の大学卒業と同時に和布刈神社に戻って神職となる道を選んだ。理由はいくつかあったというが、高齢ながら神社のことを心配する祖父の姿を見て「実家を何とか盛り上げたい」との気持ちが固まったという。

「三十代目の宮司であった祖父は2011年に亡くなりましたが、晩年は認知症を患っていました。私の姿を見ても孫だと分からない。どうやら私のことを自分の息子だと思っていたようです。そうした状態でも、神社のことを心配していました。『和布刈神社のことを頼むぞ』と言い残して亡くなった祖父は、最後の最後まで、『今年の正月はどうだ』と気に懸けていた。和布刈神社にとって正月の収入はそれほどまでに重要事でした。今考えると、正月頼りから脱することは、僕に課された使命だったのかもしれません」(高瀨氏)

 正月以外はあまりやることがない和布刈神社での生活に、はじめは気持ちがくさることもあった。

「境内を掃除するくらいしかやることがないんです。でも、神社を次の世代にまで存続させるには、このままでいいはずがない。とにかくまずは毎日の昼食を抜いて浮かせた300円を貯金することから始めました」(高瀨氏)

次のページ:描けるようになった「希望ある未来」

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。