日本における鉄道技術の海外展開の課題
私は、海外の鉄道を取材することで、現在の世界の鉄道市場がおもにフランスとドイツを中心に回っていることに気づきました。前回記事で紹介したように、フランスはドイツとともに鉄道のスピードアップに熱心に取り組んだ国であり、国際鉄道連合の本部はフランスのパリにあります。いっぽう世界最大の鉄道展示会である「イノトランス」は、今回紹介した通りドイツのベルリンで開催されています。
現在、日本政府は、鉄道技術の海外展開を推進しています。そのためには、こうした世界の鉄道市場の動向を見ながら、欧州の懐に入り込む努力が必要になると私は考えます。
【プロフィール】
川辺謙一(かわべ・けんいち)/交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所勤務をへて独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。著書多数。