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【自民党総裁選】小泉進次郎氏、河野太郎氏の「解雇規制の緩和・見直し」を若年層が支持するのには理由がある 損をするのは「ろくに働かず定年まで逃げ切ろうとしている層」

 これまで、解雇された人が「不当解雇」で会社を訴えた場合、ほとんどのケースで和解になっているが、原告・被告双方ともお金と時間がかかる。『Yahoo!ニュース』9月9日付の記事「総裁選で争点となる、解雇規制緩和の議論」で、人事・労務が専門の倉重公太朗弁護士は以下のように述べている。

〈実際に、裁判をやっていると解雇事件になってもかなりの確率で和解をする。そのため、最高裁まで争って、それで職場復帰するというケースは大変少ない。であれば「最初から金銭解決でよくない?」ということだ〉

 不当解雇が認められ和解しても、職場に戻ることはほとんどないという。

「解雇規制緩和」で賃金が上昇する

 では、金銭的解雇が可能になると、労働市場はどう変わるのか。

「解雇規制を緩和したら『すぐにクビにされる』『解雇を脅しにパワハラされたり、給料を下げられたりする』といった想像をされる方が多いですが、まったくの誤解です。パワハラはなくなるし、賃金も上がります。

 日本の大企業の場合、簡単には正社員の解雇ができないために終身雇用になるのですが、一度雇ったら60歳、あるいは65歳まで雇わなければならず、約40年間の人件費がコストとして確定します。下手に賃金を上げると人件費が膨れあがっていくので、おいそれと上げられない。つまり、定年までの雇用を保障する代償として、賃金が安くなるのです。アメリカの企業に比べて日本企業の賃金が安いのは、解雇が規制されて終身雇用になっているのも一つの原因です」(城氏)

 雇用の安定と賃金は二律背反の関係にあり、どちらかが上がればどちらかが下がるということ。ということは、やはり解雇のリスクは高まるのではないか。

「解雇規制が緩和されて困るのは、仕事へのやる気がないまま、定年まで会社にしがみついて逃げ切ろうとしている“消化試合中”の人で、働き方や考え方を改める必要があるでしょう。ただ、金銭的解雇が可能になれば、企業側はいざとなれば解雇できるので、採用のハードルを大きく下げられます。“お試し”で採用して働きぶりで判断することができる。つまり、仮に解雇されたとしても、再就職はしやすくなります。優秀な人も転職しやすくなるので、給料のいい会社にどんどん移れるようになります。

 解雇規制が緩和されると、従業員は立場が弱くなるのではないかと不安になる人が多いですが、長期的には、人材の流動化が起きると、むしろ労働者の立場は強くなります。終身雇用で転職しづらいからこそ、パワハラにも我慢して会社に残ろうとするわけで、他にいくらでも就職先があるなら、そういう会社からはみな出て行くでしょう。パワハラをすれば解雇の対象になるので、抑制にもなる。給料が安すぎる会社や解雇を乱発する会社にも、人は寄りつかなくなります」(城氏)

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