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【山岡家、鳥貴族、サイゼリヤ】円安、コスト増を跳ね返して高成長を遂げた注目の外食3銘柄 円高局面でのさらなる業績向上に期待

人気のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(時事通信フォト)

人気のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(時事通信フォト)

サイゼリヤ(7581)

 低価格メニューが特色のイタリアンレストラン「サイゼリヤ」は7月10日に2024年8月期第3四半期決算の発表を行い、来月10月9日には本決算を控えている。同社はこの円安環境下、また、日本にも押し寄せている物価高にもかかわらず一切の値上げをせずに業績成長を遂げてきている驚異の企業である。

 7月10日に発表した第3四半期決算において、前年比で売上+23.6%、営業利益2.8倍、経常利益2.7倍、純利益+94.9%、という大幅成長を発表した。

 同社の発表した経営環境についてのコメントでも、「個人消費の拡大やインバウンド消費の拡大等により回復の基調を見せつつありますが、 慢性的な人手不足、賃金上昇、資源価格の高騰、円安による食材価格やエネルギー価格の上昇の影響により、引き続き厳しい経営環境」とある。

 しかし、業績成長の要因として、「店舗運営部組織にゾーンマネジャーを設置」「店舗作業の改革を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用として、店舗セルフレジの導入、QRコードと顧客の携帯端末を使った注文方式の導入を進めており、店舗セルフレジについては2024年8月期中の全店導入を計画」と、DXを活用しての運営コストの削減が、高騰する人件費、人材採用費、物価高を見事に吸収し、成長に寄与したことがわかる。

 今後、円安一方通行の環境が変化することで同社の業績はさらに飛躍していく期待が持てるだろう。10月に発表される本決算に期待したい。

まとめ

 この1か月を見ても金融政策の動きから日米金利差縮小観測によりじわじわと円高基調になっている。それに伴い、外需株は元気がなくなってきている状況であるが、一方で、外食銘柄には株価が高値を更新している銘柄がいくつかある。円安、エネルギー価格の高止まりや物価高、人件費高騰といった逆風環境であったにもかかわらず売上、利益ともに大きな成長を実現している背景には、各社さまざまな努力と工夫があったことが、決算短信から読み取れる。逆風下においても業績成長を実現したノウハウが蓄積されることで、今後の企業の経営力をさらに高めていく推進力になっていくだろう。

【プロフィール】
古賀真人(こが・まさと)/個人投資家、経済アナリスト、会社経営者、投資系YouTuber。1978年、埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote「カブアカマガジン」(https://note.com/masatokoga)を日々更新中。

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