国内最大の「小売の巨人」であるセブン&アイHDが、カナダの流通大手アリマンタシォン・クシュタールから受けた買収提案が膠着状態の様相となっている。セブン&アイ側は「著しく過小評価されている」と提案を拒否したものの、クシュタール側は「遺憾」とし、引き続き働きかけていく姿勢を見せている。
そうしたなか、セブン&アイは9月13日、外為法上の「コア業種」に新たに指定された。海外投資家から出資を受ける際には、原則として事前届出が必要になる。今回の買収提案とは直接関係ないとされるが、国内きっての巨大企業が外資から買収提案を受ける事態に衝撃が広がっている。
買収提案は今後どんな展開を辿るのか。上場企業の敵対的買収対策などを行なう「Quest Hub」社長CEOの大熊将八氏が語る。
「まず考えられるのが買収価格の引き上げで、それがどこまで高まるか。値段に折り合いがつかなければ、カナダ企業が“同意なき買収”に踏み切るかどうかが焦点となるでしょう。もしTOB(株式公開買付け)になった場合、セブン&アイの取締役会ではなく、株主の意見を問うことになる。あるいはセブンを保有するアクティビスト(物言う株主)が、“株主利益に資する買収提案を真剣に検討しないプロセスに疑義あり”などとしてセブン&アイの経営陣との間でプロキシーファイト(委任状争奪戦)を繰り広げる可能性も考えられます。そうなると、まさに株主の判断が問われてくるわけです」(以下、「」内は大熊氏)
今後の展開に注目が集まるが、こうした海外企業による日本企業買収の流れはさまざまな業種に広がっていくと大熊氏は予想する。