首都圏で新築マンションの価格が大幅に上昇しており、おいそれと庶民には手が出せない状況になっている。一方で価格面以外に目を向けると、新築マンションの魅力が大きく減退していることがわかる。不動産コンサルタント・長嶋修氏の新刊『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)から、「なぜ、新築マンションの魅力がなくなったのか」について解説する。
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実はこの10年で新築マンションの魅力は大きく減退しています。
2002年における東京23区新築マンションの平均専有面積は80平米を超えていましたが、2023年には60平米台と、大幅に縮小しているのです。これは、およそ20年にわたる価格上昇の中で、グロス(販売総額)を上げないための、マンションデベロッパーの企業努力とも言えます。
インフレ時にお菓子の容量を200グラムのところ180グラムにして価格を据え置く、といった戦略と同様で、マンションの専有面積を縮め、天井高も低くすることで体積を縮小、同時にキッチンやユニットバスといった設備の仕様をグレードダウンするなどして、販売総額の上昇を抑制する試みです。
こうなると、ただでさえ価格が高く、しかも収納が少なくて、リビングや各居室が狭いうえに設備グレードまで陳腐化している新築マンションより、過去に供給された中古マンションの方が広くゴージャスで、相対的に魅力的に映ります。このことは各住戸に限らず、エントランスや廊下をはじめ各共用施設についても同様です。