特にこの10年くらいに「都心・駅前・駅近・大規模・タワー」といったワードに象徴されるマンションを買った人は、東京都心においてはその価格が平均的に2倍以上、神奈川・埼玉・千葉では1.7倍くらいに値上がりしています。住宅ローンを支払うことがいつの間にか資産形成となっていたわけです。
日本の住宅業界には「新築を買ったそばから建物価値が落ち、住んだ瞬間に3割減、10年で半値、20~25年程度でほぼゼロ」といった定説がありましたが、少なくとも中古マンション市場ではすでにこうした方程式が崩れつつあります。
とはいえ不動産の価値は1にも2にも3にも立地であり、要は「都心・駅前・駅近」といった利便性の高い、中長期的に人口流入が見込める立地であることが大前提です。
※長嶋修・著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成
【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ)/1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経産省の様々な委員を歴任。YouTubeチャンネル『長嶋修の日本と世界の未来を読む』では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。著作に『不動産格差』(日経新聞出版)、『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)など。最新刊は『グレートリセット後の世界をどう生きるか~激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。